学生の頃,線形代数は履修したものの,固有値分解の理解も微妙な感じ.特異
値分解というのは,出てこなかったと思う.最小二乗法は,工学の基礎だと思
うけれども,会社で使わないヒトは使わない.普通の連立方程式を解くことも.
行列の掛け算って,どうやるんだっけ? というヒトもいたりする.でも大丈夫.
オープンソースのライブラリとかあるから.
けれども,やっぱり,基礎は大切だし,行列の掛け算がわからないとライブラ
リも使えない.画像処理,コンピュータビジョン/グラフィックス,機械学習等
等,大量のデータを扱うことが普通になってきた今だからこそ,基礎が大切だ
し,もう一歩踏み込んだ理解も必要かと.
本書は,これまでの線形代数の本とは,少し趣きが異なります.射影,特異値
分解,一般逆行列の幾何学的な説明は,かなり新鮮かもしれない.ページ数は
そんなに多くはないです.演習問題を解きながら(英文の問題と解答を眺めな
がら),何度も読み込みたいと思います.和文英文併記も金谷先生ならではで
す.