私の研究室では,自由視点映像生成のための多視点カメラのキャリブレーション
や,複合現実感映像提示のためのカメラ位置姿勢推定に関する研究を行っています.
このような研究を始めるには,本書に記載されているようなコンピュータビジョ
ンにおける3次元幾何学に基づいた計算の理論と実装をマスターすることが
必須です.今回,金谷先生のご厚意により,出版前の原稿をお借りすることがで
き,研究室の多くの学生が活用させて頂きました.
特に,複数の全方位カメラと複数の通常の透視投影カメラを同時に利用した際
の カメラ間のキャリブレーション手法についてのテーマを修士課程に入ってか
ら始めた学生や,移動するカメラの自己位置推定と 環境の3次元マッピング推
定を行っている学部学生らが,本書で勉強させて頂くことによって,幾何学的
な理論面から実装まで非常に短期間に理解し,実装することができ,研究が大
幅に進みました.また,サンプルプログラムが豊富に掲載されているために,
理論面で理解が困難だとしても,サンプルプログラムを参考にして自分でプロ
グラム実装することがスムーズに行うことができます.
もちろん,その際,そのプログラムの理論を理解すべきなのですが,理論の理
解よりも先に実装および実験をスムーズに行うことができるため,その実験結
果を見て検討している過程で,このような結果としてそのプログラムの理論を
理解が しっかりとできる,という流れになっています.その結果,さらにその
理論をベースにして新たなアイデアなどを検討・議論することにつながってお
り,非常に役立っております.