書籍案内と書評(和書)


金谷健一,3次元回転:パラメータ計算とリー代数による最適化
共立出版,2019年7月.

内容:これまで,3次元回転の表現や解析に関する書籍は,物理に軸足を置くものが多かった.しかし近年,コンピュータの発展によって,身近な問題で3次元回転を扱うことが増加した.例えば,カメラや3次元センサーによる計測,コンピュータビジョン,コンピュータグラフィクスにおける3次元の解析やモデリング,また,ロボットの制御やシミュレーションなどにおいて3次元回転の計算処理が必要となる.
 計算処理の中心はパラメータ推定であり,特にデータに誤差があるときが問題になる.本書では,はじめに3次元回転に対する入門的な解説を行い,次に一般の非等方,非一様な誤差に対する非線形最適化の原理を述べる.まず,解が解析的に得られる場合を示し,次に一般の場合の数値探索法として,微小回転がリー代数を成すという性質を用いた「リー代数の方法」を定式化する.そして,例として,コンピュータビジョンの代表的な問題に適用する.さらに,計算した回転の信頼性の評価法やその精度の理論限界についても述べる.
 付録として,巻末に位相空間,多様体,リー群,リー代数についての簡単な解説を加える.

ISBN 978-4-320-11382-4, A5版,176頁,2,700円.


金谷健一,線形代数セミナー:射影,特異値分解,一般逆行列
共立出版,2018年7月.

内容:本書は,音声・言語を含むパターン処理・認識,信号・画像処理,コンピュータビジョン,コンピュータグラフィクスなどのパターン情報処理を学ぶ 学生や,研究・開発を行う研究者を主な対象とする線形代数の教科書である.本書の主テーマはパターン情報処理で中心的な役割を果たす高次元線形空間の射影,スペクトル分解,特異値分解,および一般逆行列である.そして,応用として, 連立1次方程式の最小2乗解,ベクトルの確率分布を指定する必ずしも正値でない共分散行列,点データに対する部分空間,アフィン空間の当てはめ,行列の因子分解と動画像解析との関連を述べている.本書の多くの部分は和文英文表記で,留学生だけでなく,英文論文を発表しようとする日本人学生への便宜を図っている.

ISBN 978-4-320-11340-4, A5版,152頁,2,300円.

第1章 線形空間と射影
第2章 固有値とスペクトル分解
第3章 特異値と特異値分解
第4章 一般逆行列
第5章 連立1次方程式の最小2乗解
第6章 ベクトルの確率分布
第7章 空間の当てはめ
第8章 行列の因子分解
付録 線形代数の基礎


金谷健一,形状CADと図形の数学[増補資料]
Web資料(
フリーダウンロード可),2017年6月.

内容:コンピュータビジョンやコンピュータグラフィクスを学ぶ入門者のために,「テクスチャマッピング」,「プロジェクションマッピング」,「モザイク生成」の計算手順と,その数学的な背景 (ベクトル解析,アフィン変換,射影変換) を解説する.これによって,画像処理の基礎やコンピュータグラフィクスの原理に触れられる.これは著者の教科書 「形状CADと図形の数学」(金谷健一,共立出版, 1998年)の増補の形をとっている.同書には,入門者は飛ばしてもよいやや高度な内容も含まれていたので,これさえ読めばいいという「ポイント」を示し,各章の「要約」も列挙している. また,内容に関連した話題や文献を「雑談」として挿入している.

第0章 序論
第1章 平面幾何学[要約]
第2章 空間幾何学[要約]
第3章 曲面の幾何学[要約]
第4章 投影の幾何学[要約]
第5章 射影幾何学[要約]
第6章 画像の変換:テクスチャマッピング,プロジェクションマッピング,モザイク生成
第7章 変換群と幾何学
追加参考文献
演習問題解答


金谷健一,菅谷保之,金澤 靖,「3次元コンピュータビジョン計算ハンドブック」,
森北出版,2016年10月.

内容:3次元シーンを撮影した画像を解析して3次元情報を抽出するコンピュー タビジョンの基礎技術を記述している.理論は最小限に抑えて,実際にプログ ラミングするための計算手順を具体的に示している.本書は「
画像理解:3次元認識の数理」(金谷健一,森北出 版, 1990年)の発展的最新版である.また,演習問題とその解答という形 で計算法の導出や正当性の証明を与えているので,実践のための手引き書と, 理論を知るための教科書の両方の役割を果たしている.

ISBN 978-4-627-81791-3, 菊版, 308頁,4,200円.

第1章 序論
第I部 コンピュータビジョンの基礎技術
第2章 楕円当てはめ
第3章 基礎行列の計算
第4章 三角測量
第5章 2画像からの3次元復元
第6章 射影変換の計算
第7章 平面三角測量
第8章 平面の3次元復元
第9章 楕円の解析と円の3次元計算
第II部 多画像からの3次元復元
第10章 多視点三角測量
第11章 バンドル調整
第12章 アフィンカメラの自己校正
第13章 透視投影カメラの自己校正
演習問題解答
参考文献


金谷健一, 「幾何学と代数系/Geometric Algebra:ハミルトン,グラスマン,クリフォード」
森北出版,2014年7月.

内容: 最近,物理学や工学のいろいろな分野(ロボットアームの制御,コンピュータグラフィクス,コンピュータビジョンなど)で話題になっている「幾何学的代数」(geometric algebra)を紹介することを目的として,その背景をなすユークリッド幾何学,ベクトル解析,テンソル解析,ハミルトン代数,グラスマン代数,クリフォード代数,グラスマン・ケイリー代数,共形幾何学などのさまざまな幾何学や代数系を解説している.さらに魚眼レンズや全方位カメラの撮像系を解説している.これらを,数学を専門としない一般読者を対象として,3次元空間に限定した基本的な事項のみを初等的に説明すると同時に,随所にコラムを挿入して,位相幾何学,射影幾何学,連続群の表現論などの現代数学のいろいろな側面やその歴史的な背景も学べるように配慮している.章末には各章の内容を補足する演習問題を付けて,解答を巻末に載せている.
ISBN 978-4-627-07741-6, A5判, 272頁, 3,888円.

金谷健一, 「理数系のための技術英語練習帳:さらなる上達を目指して」
共立出版,2012年3月.

内容: 数式を用いて論述するような理数系の技術英語の教科書である.第1章では数式の英語による読み方を取り上げ,LaTeX による数式の書き方を述べている.第2章では数値の計算,プログラミング,確率,ベクトルや行列,命題や論理,メディア処理や機械学習に関する基本的な用語と例文を示している.第3, 4, 5章ではやさしい英文で書かれた専門的な内容の英文を示している.第6章では日本人が苦手とする冠詞の用法を説明し,第7章では不定詞,第8章では動名詞,分詞を説明し,第9章では定義や仮定の述べ方を述べている.第10 章ではコロン,セミコロン,ダッシュの使い方をまとめ,重複を省略して簡潔な英文を書く方法を述べている.第11章ではよくある疑問や注意すべき表現をQ&A形式でまとめている.ゼミや演習で教えることを意図し,多数の練習問題を設け,巻末の解答例にはなぜそうなるかを詳細に解説している.
ISBN 978-4-320-00589-1, B5判, 265頁, 2,700円.

金谷健一, 「数値で学ぶ計算と解析」
共立出版,2010年10月.

内容: 計算機による基本的な数値計算の方法を通して線形代数や解析学の基礎を復習するとともに,数値計算に伴う誤差や計算アルゴリズムの効率(計算量)に関する理解を深めることを目的としている.また,数学の基礎的な理解を目的としているため,数値計算の諸技法を網羅的に取り上げるのではなく,基本的で代表的な手法に限定している.合わせて線形差分方程式の一般論の解説もおこなっている.各章ごとに練習問題をつけ,巻末に詳細な解答を付し学習を助ける.
ISBN 978-4-320-01942-3, A5判, 205頁, 2,200円.

金谷健一, 「これなら分かる最適化数学:基礎原理から計算手法まで」,
共立出版,2005年9月.

内容: 本書は,利益,損失,効率,コストなどの望ましい,あるいは望ましくない値を最大または最小にするように設計する最適化手法について,電子,情報,通信関係の大学生,大学院生,社会人研究者を対象とする入門書として企画された.本書の特徴として,各種の最適化手法を説明するだけでなく,その背後にある数学的事項の解説に力点を置いている.また,統計的最適化や機械学習に関係する話 題も扱っている.しかし,個々の手法に特有な専門的な事項はなるべく避け,一般的,基本的な基礎知識を重視した.このため大学の低学年に対する教科書としても利用できる.
ISBN 4-320-01786-2, A5判,260頁,2,900円.

金谷健一, 「これなら分かる応用数学教室:最小二乗法からウェーブレットまで」
共立出版, 2003年6月.

内容: 線形計算の基礎技術を線形代数や解析学を学んでいない者にも理解できるように``重ね合わせの原理'' という切り口から紹介する.「最小二乗法」,「直交関数展開」,「フーリエ解析」,「離散フーリエ解析」,「固有値問題と2次形式」,「主軸変換とその応用」,「ウェーブレット解析」の7章からなり,各々を数学的基礎に絞り,多数の例題を通して簡潔に説明している.随所に「先生」と「学生」との「ディスカッション」を挿入し,基礎事項を復習するとともに,読者の興味を引くやや高度な話題を取り上げたり,学問のあり方や勉強の仕方を論じている.さらに頻繁に「チエック」項目を挿入し,基本的なことを何度も繰り返するとともに,着眼点や覚え方のコツまで指示している.
ISBN 4-320-01738-2,A5判, 280頁,2,900円.

金谷健一, 「形状CADと図形の数学」
共立出版, 1998年2月.

内容:計算処理の立場から幾何学(ユークリッド幾何学、曲線・曲面論、射影幾何学)を記述した教科書.特に曲面論と射影幾何学に関して他書にない独自の工夫を加えている.ごく初等的な教科書であるが、不変量やカタストロフィ理論などの高級な話題も取り上げているので専門家にもおもしろいであろう.
ISBN 4-320-01618-1,A5判,196頁,2,500円.

金谷健一, 「空間データの数理:3次元コンピューティングに向けて」
朝倉書店, 1995年3月.

内容:距離と計量、2次曲線、関数の極値と最適化、確率分布の幾何学、幾何学的な推定と検定、幾何学的当てはめ問題、当てはめ問題の最適化計算、当てはめの最適フィルタ、画像処理・コンピュータビジョンへの応用.線形代数、確率統計学、数値解析学の初歩から今日の話題の応用まで初心者向けに解説.大学3、4年生から大学院生、一般研究者向け.
ISBN 4-254-12105-9,A5判,230頁,3,300円.

金谷健一,「画像理解:3次元認識の数理」
森北出版, 1990年5月.

内容:透視変換と射影幾何学、3次元並進とステレオ、カメラ回転と画像解析、3次元剛体運動の画像解析、オプティカルフローの解析.画像から3次元を復元する問題のための線形代数やベクトル解析の手法の初心者向け解説.大学3、4年生から大学院生、一般研究者向け.
ISBN 4-627-82140-9,A5判,208頁,2,900円.

甘利俊一, 金谷健一,「線形代数」
講談社, 1987年5月.

内容:線形代数の教科書のほとんどは数学者の書いたものであり、(1)ベクトル、行列、行列式、固有値の計算技術を主とするもの、(2)線形空間の公理から出発した抽象的な数学書、に分類できるが、本書は線形代数を計算論でも抽象論でもなく、工学現象(力学形、電気回路、システム、他)の「解析技術」ととらえた工学者による異色の教科書.
ISBN 4-06-186831-4,A5判,276頁,3,000円.


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